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マンションの長期寿命化がこれから加速度的に進む!マンションを長持ちさせるための秘訣とは?

長くマンションを所有・住み続けたい所有者は年々増えています。一方で、修繕や改修が実施されていないマンションは、老朽化が急速的に進むものです。
マンションに永住するためには、どんなタイミングで、何を考えていけばいいのでしょうか。


2004年から2020までの間に建て替えられたマンションは、準備中を含めてわずか300件足らずです(国土交通省「マンション建替えの実施」令和2年4月1日現在)

建て替えられたマンションの多くは容積率(※注1)に余裕があったため、従来よりも大きな建物をつくり、それを売却することで事業費を生み出すことができました。区分所有者の方々は自己資金ゼロ、あるいは少ない費用負担で新しいマンションを手に入れることができたわけです。

◆高まる永住志向の裏に建て替えの難しさあり

別の見方をすれば、ほとんどのマンションは容積率(※注1)をフルに使って建てられていますから、建替えをする場合には費用を区分所有者が負担しなければなりません。

建替えには管理組合総会で区分所有者の5分の4以上の賛成が必要となります。さまざまな事情を抱えた区分所有者の意見をまとめることは困難です。永住志向の高まりの背景には、建替えを目指すことが難しいという現状もあります。そこで建替えせずにマンションを長持ちさせ、「100年マンション」を目指すといった動きも増えています。

適切な修繕や改修が実施されていないマンションは、老朽化が急速に進みます。反対に着実にメンテナンスを実施してきたマンションは、居住性がさほど低下していないはずです。人が高齢になると、それまでの生活習慣によって健康状態に個人差が出てくるのと似ています。

建替えが容易にできないなかで、マンションの将来を考えるためには、自分たちのマンションの条件を客観的に知ることが必要となります。

そして築50年、75年、100年といった将来を展望するビジョンやマネジメント計画を検討し、それをもとに新しい視点で長期修繕計画をつくることが必要です。

◆100年マンションを目指す動きがスタート

かつて鉄筋コンクリート造の建物の寿命は、財務省令の減価償却期間である耐用年数の60年(1998年度税制改正で47年に短縮)という年数が物理的な寿命と混同されていました。

しかし、実際には100年以上もたせられることがわかってきました。また、技術が進歩してきたため、築年数が経過した建物をリニューアルすることができるようになりました。コンクリートの躯体(※注2)の耐久性が100年、あるいはもっと長ければ、建物の仕上げや設備機器を新しくすることで、文字通りマンションを終のすみかにすることもできます。

築後36年程度を目安に行う3回目の大規模修繕工事を機会に、建物としてのマンションとともに、区分所有者・居住者の生涯の生活設計についても考えたいものです。

集合住宅の歴史が長い欧米では築年数を経るほど価値が上昇する【ヴィンテージマンション】も珍しくありません。

マンションが本格的に普及したのが遅い日本では、【ヴィンテージマンション】と呼べるマンションはまだ多くありませんが、管理組合が経営という視点をもち、ハードだけでなくソフトの仕組みを充実させることで長寿命化を目指す動きが増えています。

また、今後マンションの老朽化が進むにあたって、建物自体の耐震性や耐用年数を大幅に向上させつつ、用途変更や大胆な意匠転換などを行い、新築同等によみがえらせる建築再生手法【リファイニング建築】を大手不動産会社が取り入れている傾向もあります。

この手法を取り入れることにより、通常の建替え工事の期間(通常は2年程度)が10カ月程度に短縮できるだけでなく、建築費も7割程度に抑えられるなど、区分所有者の負担を減らせることも可能となります。

株式会社T-trust
マーケティング事業

注1:建て物の延べ延床面積の敷地面積に対する割合のこと。延べ床面積を敷地面積で
   割って算出します。延べ床面積とは建物の各階の床面積の合計のことです。

注2:建物の構造体のこと。「基礎、基礎ぐい、壁、柱、小屋組、土台、斜材(筋交い)、床板、屋根板または横架材(梁など)」